甲斐副院長の学会発表がありました。

甲斐副院長の学会発表がありました。

令和5年11月11日・12日に開催されました、第34回日本臨床スポーツ医学会学術集会にて当院 甲斐副院長の発表がありました。

演題は 『高位脛骨骨切り術後2.5か月でフルマラソンに復帰し、7か月で4時間切りを達成したエリートアスリートの1例』  です。

以下、日本臨床スポーツ医学会誌:Vol31 No.4より抜粋した抄録です。

内側開大型高位脛骨骨切り術(以下OWーHTO)は優れた術式であるが就労復帰やスポーツ復帰に関しては、骨癒合に時間がかかるために復帰に期間を要するという問題がある。今回、大腿骨内顆骨壊死を来し、OW-HTOの適応となったが、術後2.5か月でフルマラソンを完走し、6か月でフルマラソン4時間切りを達成したアスリートの1例を経験したので報告する。

症例:52歳女性。洞爺湖マラソン9回の女子優勝経験あり。2022年3月13日、ランニング中に左膝裏でpopを自覚し、膝痛出現。近医受診し、XーP、MRIを撮影し、疲労骨折との診断であった。6月、別の近医を受診し、内側半月板後根断裂、それに続発した大腿骨内顆骨壊死と診断され、当院紹介となった。

経過:8月19日半月板後根修復術・OW-HTOを施行した。開大部には人工骨は用いずに、自家腸骨移植を行った。目標は翌年3月復帰とした。術後2か月のXーPにて骨癒合した。その直後、10月30日にフルマラソンに無断で出場し、制限時間内完走したと主治医に連絡があった。半月板縫合部が安定したと考えられる2月にダッシュも許可した。

結果:3月の東京マラソンにおいて3時間40分台で完走し、目標を達成することができた。

考察:骨壊死を来しても、OW-HTOを施行し、骨癒合が得られればフルマラソン完走は可能である。復帰を焦るアスリートの場合、人工骨を用いるよりも自家骨を用いた方が骨癒合が早く、コンプライアンスが悪かったとしてもより良い治療成績が得られる可能性がある。